
無農薬野菜のEC支援|中小食品事業者の販路拡大とリピーター育成を実現
地方で無農薬野菜を生産・販売する中小規模の農園が、EC販路の拡大とリピーター育成に課題を抱えていました。
Practical Marketingでは、ブランド再定義から購入導線の設計、定期便やメールマーケティングの活用までを一貫して支援。
「良いものを作る」だけでなく、「選ばれる理由を伝える」ことで成果につなげた事例をご紹介します。
導入企業の概要
地域:関東地方・農村部
事業内容:無農薬野菜の生産および個人向け販売
従業員規模:10名未満
導入前状況:リアル直売所中心、ECは実験的に開設済(売上比率2割未満)
本事例の支援先は、関東地方の農村地域で無農薬野菜の生産・販売を行う、小規模な農園事業者です。個人向けの野菜セット販売を中心に、地域内での直売や口コミを通じて安定した顧客基盤を築いており、品質へのこだわりと誠実な運営方針には定評がありました。
一方で、時代の変化にあわせてECを開設していたものの、販売施策は十分に整備されておらず、リピーターの獲得やブランドの差別化に課題を抱えていました。ECの活用についても、マーケティング体制が未整備で、販売導線や発信内容は生産者自身が試行錯誤しながら検討している段階でした。
クライアント課題
商品の品質やこだわりに自信はあったものの、EC上での表現や差別化が不十分で、ブランドとしての伝わり方に課題があった
EC導入後も広報や販売施策は場当たり的で、戦略的なマーケティング活動としては確立されていなかった
商品紹介や購入導線は“説明する”ことに終始し、魅力や価値を“伝える”設計にはなっておらず、一貫性にも欠けていた
オンライン販売に取り組み始めていたものの、実店舗や直売での販売が主流であり、ECの活用は限定的な状況にとどまっていました。
農産物としての品質には自信を持っていた一方で、それを言語化して伝える機会は少なく、ブランドとしての差別化や顧客への訴求が不十分なまま運用されていた状態でした。
また、商品の魅力やこだわりを表現する素材やストーリーが整っておらず、購買導線も明確に設計されていなかったため、新規顧客の獲得やリピーター育成に課題を感じていました。
加えて、販売や広報を担当する体制も確立されておらず、施策の検討・実施は生産者自身が兼任している状況であったため、継続的なマーケティング活動にリソースを割けないことも大きな障壁となっていました。
支援のプロセスと施策内容
ターゲット分析(購入者の傾向と価値観抽出)
ブランドコンセプトの再整理(例:「自然に育った、うそのない野菜」)
商品構成とLP改修(セット購入+定期便導線の設計)
メールマーケティングの導入支援(リピートとクロスセル促進)
商品の品質や生産へのこだわりには確かな自信を持っていた一方で、それをEC上でどのように伝えるべきかは手探りの状態が続いていました。
「良いものを作れば自然に売れる」という姿勢のまま、購入者に向けた言語化や導線設計がされておらず、発信の意図と伝わる内容との間にギャップが生じていたのが実情です。
また、広報や販売促進の施策は生産業務と並行して行われており、計画的なマーケティング活動としては成立していませんでした。
ECサイト内のコンテンツも情報が断片的で、商品紹介はあっても「なぜこの野菜を選ぶのか」「継続して買う理由」まで踏み込めていない構成となっており、リピーター育成やブランド形成の足かせとなっていました。
得られた成果
新規顧客数が月間2.2倍に増加
定期便コースの申込数が導入3ヶ月で安定化(全体売上の3割に)
「うちの野菜は安心だから売れる」から「伝わるから選ばれる」状態に変化
取り組み開始から数ヶ月で、ECサイト経由の新規顧客獲得数が着実に増加し、定期便やセット販売などリピートを促す仕組みが機能し始めました。
発信コンテンツのトーンや導線が整理されたことで、「なんとなく購入」から「納得して選ぶ」購買体験へと移行し、売上構成比の中でも定期的な注文の割合が拡大しています。
また、制作物や商品ページの表現が統一されたことにより、広報・販売の現場でも「使いやすさ」や「説明しやすさ」が向上し、スタッフの発信に対する意識にも変化が見られました。
単なるEC運用支援にとどまらず、商品と顧客の関係性を見つめ直す視点を得たことで、今後のブランド展開にも手応えを感じる結果となりました。
クライアントの声
「“おいしさ”や“安心”といった言葉では伝えきれない、自分たちの野菜の価値を、Practical Marketingさんが一緒に見つけてくれました。
これまで販促というと“価格や内容を説明するもの”だと思っていましたが、お客様の立場で“選ぶ理由”を伝えるという視点は、自分たちでは持てていなかったと思います。
対話を重ねる中で、『どう育てているか』ではなく、『なぜそれが暮らしの中で選ばれるのか』を一緒に言葉にしていけたことが印象に残っています。
単にECを整えてもらったというよりも、これからの発信や商いの軸をつくってもらったという感覚に近いですね。」
ご支援を通じて
本案件では、ECのUI改善やコピーの最適化といった“表現手段”よりも、その前提となる「なぜこの野菜を届けたいのか」「どんな暮らしとつながりたいのか」を掘り下げることに力を注ぎました。
どれだけ写真や言葉を整えても、土台となるブランドの軸が曖昧では、受け手に響く発信にはつながりません。
だからこそ、私たちはまず“誰に・なぜ届けるのか”という価値の再定義から始め、そこに紐づくストーリーや導線設計を一貫して伴走しました。
特に印象的だったのは、「自分たちはこういう想いで野菜をつくっている」という言葉が、ご支援の終盤には「だからこの野菜は、この人に届くべきなんです」という視点に変わっていたことです。
農業という営みの中にマーケティングの視点が自然と溶け込んでいく——
その変化の一端をご一緒できたことを、私たちも大きな喜びとして感じています。
